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種子島訪問記
 
 2月15日から17日までの3日間、人生初となる種子島訪問を果しました。私の住む東北地方とは異なる温暖な気候と豊かな自然に触れ、充実した時間を過ごすことができました。今回の旅行のきっかけをつくってくれた小野さんと本宮さん、種子島で温かく迎えて下さった八板夫妻、そして我々と種子島を繋いでくれた高橋先生に、深い感謝の意を表したいと思います。
 種子島は言わずと知れた鉄砲伝来の地です。社会科を履修した者であれば誰でも一度は目にしたことのある地名でしょう。加えて宇宙センターや離島独特の歴史、方言など、魅力的な観光資源に恵まれています。2泊3日の短い時間であったとはいえ、濃密で新鮮な時間を過ごすことができました。
八板氏の「種子島スマートカレッジ構想」は、とても興味深い内容でした。「種子島を元気にする」という確固とした思いのもと、現代における若者の就労状況と教育機関のあり方に問題点を見出し、両者を結びつけることに焦点が当てられていました。私自身の周囲にも、高校を出た後仕事が長続きしていない者が少なくありません。闇雲に専門学校や大学に進学しても、就職活動を先延ばしにしているだけで、就労が困難な状況に変わりはありません。将来を見据えた高等教育は、理想的な学習を成立させることと思います。
 尤も、一番深く心に残ったことは、八板氏が種子島に対して問題意識を強く持っていた点でした。私は種子島をこの世の楽園かと感じるほど満喫させて頂きましたが、それでも人口の流出や交通の不便さなど、解決すべきものが山積しているとのことです。種子島を内と外の両側から捉えることが出来て初めて、至りうる視座なのだろうと思います。批判的な視点を保持しつつ、そこに根を張り生活する八板氏の姿勢から、「郷土を愛する」とはこういうことなのかと、学ぶことが出来ました。同時に、通学のため仙台で暮らす自分が、故郷に対して今までいかに不誠実であったかにも気付かされました。私は教師という目標を持っていますが、己のことに終始せず、反省的な視点を忘れずに生活していこうと思います。
 なんだか自分のことばかりになってしまいましたが、本当に種子島での経験は印象的なことばかりでした。美しい星空、甘い安納芋、刺激的な高橋先生との出会いなど、書ききれないことばかりです。短い時間の中でした数々の経験をしっかり胸に刻み、自分の為すべきことに対して真剣に取り組んでいこうと思います。
最後に、鉄砲館の人形劇を見そびれるという重大なやり残しがあるため、近いうちの再訪をここに誓いたいと思います。
 
平成25年2月 
 
東北大学教育学部文学研究科 文化科学専攻
倫理学専攻分野 博士前期課程2年
  伊藤崇志  
 
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